吉本シン新喜劇

流れに任せてマイペース 元せり人の玉置洋行が行きつく先は

「その日その日をコツコツと」生きる玉置洋行
「その日その日をコツコツと」生きる玉置洋行

丸刈りで下町のおじさんのような愛嬌(あいきょう)ある風貌。噺(はなし)家のようなしゃべり方。今回紹介するのは、吉本新喜劇の若手の中で独特の味を醸し出す男、玉置洋行。入団8年目の座員です。

関西大学の落語研究会に所属していたという彼の学生生活は、サークル活動メインで、ほぼ部室で過ごしていたそうです。それほど落語に傾倒していたのかと思いきや、落語よりも、寄席の看板や高座のめくりに用いられる「寄席文字」に力を入れ、「独学で自分たちの寄席のめくりを書いていました」。

趣味も「酒」と渋め。「みんなで飲むのも好きやけど、一人でも飲みに行きます。深酒はしないですけどね」とニコニコ。七福神の中にいそうな笑顔で教えてくれました。

大学卒業後は中央市場に就職し、せりを取り仕切るせり人として働いていました。午前2時起きで、「ほぼ8割寝坊していた」という生活が7年続いた頃、たまたま空いた時間にふと新喜劇を見て「面白いな」と思い、ふとホームページをのぞくと座員のオーディションの文字があり、締め切りが翌日だったので、その日のうちに応募書類を送ってみたそうです。

「全部が〝ふと〟でここまで来ました。行き当たりばったりの人生です。先のことを考えず、一日一日を楽しく生きていくことしかできない」

これからのことを尋ねても「大きな目標はないです」。でも、「日進月歩で少しずつでもうまくなりたい。新喜劇の皆でつくる笑いが好きなんで」と、彼なりの新喜劇愛を語ってくれました。

そんな玉置は、3月21日になんばグランド花月(NGK)で開催される「吉本新喜劇記念日2023」の目玉イベント「GM杯ネタバトル最終決戦」で、谷川(たにかわ)友梨と漫才を披露します。優勝賞金30万円の戦いへの意気込みも「とりあえず楽しく。で、おいしくお酒が飲めたらな」と、どこまでもマイペースです。

芸人ライターで吉本新喜劇座員の吉岡友見
芸人ライターで吉本新喜劇座員の吉岡友見

流れに任せて飄々(ひょうひょう)と生きていく玉置の行きつく先は、一体どこなのか。皆さんで見届けましょう。ネタバトルには私、吉岡も出場しますよ!

(吉本新喜劇座員・芸人ライター 吉岡友見)

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