米国の地方銀行の連鎖破綻で金融市場に衝撃が広がっている。急激な金利上昇による保有債券の含み損拡大と預金の流出が金融システム不安を呼び起こした。債券の運用に依存する傾向がある日本の地銀への飛び火も警戒される。4月に植田和男新総裁を迎える日本銀行も「異次元の金融緩和」の転換が見込まれる。ただ、市場の混乱が続けば、新体制の金融政策運営も難しくなりそうだ。
金融不安の引き金を引いたのは、10日の米シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻だ。同社が保有する米国債や住宅ローン担保証券の売却による巨額の損失計上と増資計画を発表したところ、不安に感じた顧客が一斉に預金を引き出したことで現金不足に陥った。
SVBの主要顧客はスタートアップ(新興企業)。新型コロナウイルス禍の下でだぶついた金融緩和マネーを吸収し成長してきた。SVBは彼らの預金の多くを有価証券運用に回していたが、米連邦準備制度理事会(FRB)が強烈な金融引き締めを行うタイミングで、予期しない信用不安が発生し行き詰まった。