20世紀を代表するフランスの巨匠、アンリ・マティス(1869-1954年)の、国内では約20年ぶりの大規模な回顧展が開催されます。1869年フランス北部で生まれたアンリ・マティスは、その初期には、フォーヴィスム(野獣派)の中心人物として注目を集め、その後は84歳で亡くなるまで、モダン・アートの巨匠として、造形的な実験を重ねました。
本展は、質量ともに世界最大規模を誇るポンピドゥー・センター/フランス国立近代美術館のマティス・コレクションを中心に、絵画、彫刻、ドローイング、版画、切り紙絵などの多岐にわたる仕事だけでなく、晩年の集大成といえる南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂に関する資料や撮りおろし映像なども加えて、各時代の代表的な作品から、その変遷を辿るものです。
マティスの生涯は、取り立ててドラマがあったわけではありません。二つの戦争を経験し苦労もしましたが、その影響は作品からはあまり伺えません。彼はその人生を、アトリエという小さな宇宙の、もっぱら作品世界のなかで行われる色と形の冒険に捧げました。ポンピドゥー・センターの収蔵作品には、マティスにとって、手ごたえを感じ次に進むきっかけとなったり、長きにわたる実験の集大成としたりするような、節目となったものが多数含まれています。今回の展覧会は、彼が実現しようとした世界を、作品を通して辿ることのできる、豊かで最良の機会です。ぜひ会場でお待ちしております。
(東京都美術館 学芸員 藪前知子)
開催概要
「マティス展」
【会期】2023年4月27日(木)~8月20日(日)
【会場】東京都美術館 企画展示室
【主催】公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館、ポンピドゥー・センター、
朝日新聞社、NHK、NHKプロモーション
【公式HP】https://matisse2023.exhibit.jp/
【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
※本展は日時指定予約制です。詳細は公式HPをご覧ください。