地金大手、田中貴金属工業(東京)は週明け13日午前、金小売価格を1グラム当たりで12日より32円高い9千円ちょうどに設定した。国内金価格の指標として初めて9千円台に乗せ、約2カ月ぶりに過去最高価格を更新した。米金融システムの安定性への懸念から国際的に金の先物価格が上昇しており、同社はこうした値動きを念頭に店頭での需要の増加を見込んだ。
金は利息が付かないものの金融危機や戦争、物価高騰の際でも株式や社債と違って暴落しない「有事の安全資産」とされる。
金融市場では、米銀の連鎖的な破綻が今後も続いた場合「世界経済の悪化を伴うリーマン・ショックなど米金融危機が再発しかねないと警戒され、安全資産の金需要が高まった」(大手証券)との声が出ている。