ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次リーグB組で、12日の豪州代表戦に勝利して1位通過を決めた日本代表「侍ジャパン」。この試合で一回に先制の3ランを放った大谷翔平選手(エンゼルス)のホームランボールをめぐる日本のファンの対応が、米メディアや会員制交流サイト(SNS)で話題となっている。スタンドに飛び込んだボールを多くのファンが順々に記念撮影し、最終的にはボールを取った女性の元に返されたことについて、米メディアやSNSからは「分かち合いの技術を披露した」「高い道徳観を持っている」といった声が出ている。
この試合で大谷が右翼席に放った3ランは、WBCでの記念すべき第1号。いまや大リーグでも屈指のスター選手となった大谷だけに、本来ならボールをめぐって争奪戦になってもおかしくない。このボールの「行方」について、米大リーグ(MLB)の公式サイトが「日本のファンが丁寧にボールを回す」との見出しで記事を掲載した。
記事によると、「ボールは外野席を回り、それぞれのファンが写真を撮った」とした上で「結局、ボールは元の正当な持ち主に引き取られた」という。記事では「幼稚園のころに習った『分かち合うという技術』をファンが披露した」と報じた。
この様子は、米放送局の「FOX SPORTS」の大リーグ専門ツイッターの公式アカウントでも取り上げられ、「大谷翔平選手の本塁打の後、ファンはボールの写真を撮り、キャッチしたファンの元にボールが返された」とツイート。返信(リプライ)には「ヤンキースタジアム(ヤンキースの本拠地球場)でこのような光景は見られない」「日本のファンは高い道徳観を持っている」といった声が寄せられた。
After Shohei Ohtani's home run in the top of the first inning, fans passed around the baseball to take pictures of the ball before returning it to the fan who caught the ball 👏 pic.twitter.com/yqwtKdWKol
— FOX Sports: MLB (@MLBONFOX) March 12, 2023
12日の豪州代表戦で侍ジャパンは、大谷の先制3ランの後も着実に加点。先発の山本(オリックス)も4回無失点と安定した投球を披露するなど投打がかみあい、7-1で勝利。1位通過で準々決勝進出を決めた。
1次リーグを通じて投打ともに高いレベルであることを証明した侍ジャパン。WBCでは日本野球の強さだけでなく、日本人ファンのマナーの良さも情報発信されている。(浅野英介)