「お水取り」の名で知られる仏教修行「修二会(しゅにえ)」が1日から行われている奈良市の世界遺産・東大寺の二月堂に12日、長さ約8メートルの「籠松明(かごたいまつ)」が登場した。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年に続いて二月堂周辺への見物客の立ち入りは制限された。
松明は修行僧の道明かりとして期間中毎晩ともされるが、この日だけ通常より2メートルほど長いものが使われる。午後7時半ごろ、世話役の「童子(どうじ)」が担いだ籠松明の明かりに導かれ、修行僧11人が次々と入堂。童子がお堂の欄干から籠松明を突き出すと火の粉が舞い散り、炎でお堂が赤く染まった。
井戸から「お香水」をくみ上げて二月堂本尊の十一面観音に供える13日未明の儀式を経て、15日に満行を迎える。
修二会は疫病の流行下や先の大戦中も途切れず奈良時代から1270年にわたり続いてきたことから「不退の行法」と呼ばれ、春の訪れを告げる風物詩として親しまれている。