「露を勝たせてはならない」 英仏首脳が会談

【パリ=三井美奈】英国のスナク首相が10日、フランスを訪問し、マクロン大統領と会談した。英国の欧州連合(EU)離脱以降、冷え込んでいた英仏関係を再構築し、ロシアのウクライナ侵攻に対する欧州の結束を演出した。

マクロン氏は共同記者会見でウクライナ侵攻に触れ、「われわれの分析と立場は同じ。ロシアを勝たせてはならないということだ」と述べた。首脳会談を英仏両国の「新たなスタートだ」と位置づけ、関係改善を強調した。

スナク氏は「英仏は安全保障で特別な責任を負う」と発言。英仏が北大西洋条約機構(NATO)欧州側の牽引(けんいん)役として協力する重要性を訴えた。インド太平洋への関与も議題となったと明らかにした。英側は、インド太平洋の安全保障で両国が関与を深めるため、空母派遣などで連携すべきだと提案していた。

両首脳はこのほか、英仏海峡を渡る不法移民対策で協力策を話し合った。英仏が2国間の正式枠組みで首脳会談を行うのは2018年以来、5年ぶり。

英国のEU離脱後、双方は通商関係をめぐって対立し、英仏間も漁業権などをめぐるトラブルが続いた。21年には、英国が米国、オーストラリアと共に安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を発足させ、フランスが豪州と進めていた潜水艦開発を中止に追い込んだことで、英仏関係はさらに悪化した。先月末、スナク政権はEU欧州委員会と通商に関する新たな枠組みで合意し、英仏でも関係改善の兆しが出てきた。

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