WBC日本代表ヌートバーの「君が代」斉唱、SNSで話題 米メディアも「素晴らしい時間」

会見に臨むラーズ・ヌートバー(左)。右は今永昇太 =東京ドーム(撮影・長尾みなみ)
会見に臨むラーズ・ヌートバー(左)。右は今永昇太 =東京ドーム(撮影・長尾みなみ)

野球の国・地域別対抗戦の第5回「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)に出場する日本代表「侍ジャパン」で、日系選手として初めて選ばれたラーズ・ヌートバー外野手(カージナルス)。日本人の母親を持つヌートバーが強化試合に出場した際、試合前の国歌演奏で君が代を斉唱した姿が会員制交流サイト(SNS)などで話題を呼んでいる。日本に溶け込もうとする懸命な姿に、SNSでは「応援したくなる」といった好意的な声が寄せられており、米国メディアからも「ヌートバーは素晴らしい時間を過ごしている」といった声が出ている。

「応援したくなる」 ツイッターで好意的な声

侍ジャパンとして初の実戦参加となった6日の阪神との強化試合。「1番・中堅」で先発出場したヌートバーは試合前のメンバー紹介で、栗山英樹監督の横に並んだ。国歌が演奏されると、栗山監督とともに「君が代」を斉唱する姿が映像で映し出された。

試合前、国歌斉唱に臨む(左から)吉田正尚、村上宗隆、大谷翔平、近藤健介、ヌートバーら侍ジャパンナイン =京セラドーム大阪(撮影・長尾みなみ)
試合前、国歌斉唱に臨む(左から)吉田正尚、村上宗隆、大谷翔平、近藤健介、ヌートバーら侍ジャパンナイン =京セラドーム大阪(撮影・長尾みなみ)

ヌートバーが君が代を斉唱する姿は、球場で観戦していたファンも撮影しており、映像や動画がSNSで拡散されると話題に。ツイッターでは「勉強して日本語や君が代を覚えてくれてるってうれしいし、応援したくなる」「ヌートバーの明るさが、チームの雰囲気をよくしている」といった好意的な声が寄せられた。

侍ジャパンの一員としてすっかり溶け込んでいる。3日に行われた中日との強化試合からチームに合流した際、ミドルネームの「タツジ」にちなみ、「たっちゃん」と書かれたTシャツを選手、首脳陣が着用。温かく出迎えてくれたチームの〝サプライズ〟に、ヌートバーも会心の笑みを浮かべた。

試合前練習で、チームに合流したヌートバーを歓迎する「たっちゃんTシャツ」を着る山田(左)と周東=3日、バンテリン(水島啓輔撮影)
試合前練習で、チームに合流したヌートバーを歓迎する「たっちゃんTシャツ」を着る山田(左)と周東=3日、バンテリン(水島啓輔撮影)

ヌートバーが所属するカージナルスで昨シーズンから流行している、コショウをひく動作の「ペッパー・グラインダー」を侍ジャパンでも導入。打者が出塁した際のパフォーマンスとして、侍ジャパンでも定着した。

「言語の違いは友情の邪魔にはならない」

侍ジャパンのムードメーカーになりつあるヌートバーに、米国メディアも関心を寄せている。

米大リーグ(MLB)の公式サイトは「ヌートバーは日本で財産を作ることを誇りに思っている」との見出しで特集記事を掲載。チームがおそろいのTシャツを用意したことや、ヌートバーをきっかけに侍ジャパンでパフォーマンスが定着したことを紹介。「チームメイトとの間に言語の違いがあるかもしれないが、それが試合や友情の邪魔になることはない」と指摘した。

また、カージナルスの専門サイト「Viva El Birdos」では「ヌートバーが素晴らしい時間を過ごしている」と報じた。

8日の記者会見では「自分がジャパンのユニホームを着て経験できていることは本当に大きい。母も喜んでいるし、生涯忘れることのないトーナメントになると思う」と語ったヌートバー。9日の中国戦で先発出場が予想される25歳は、母の母国である日本でチームの先頭に立つ。(浅野英介)

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