政府が7日に閣議決定した入管難民法改正案では、これまで原則、施設に収容してきた不法滞在者を施設外で処遇する「監理措置」が盛り込まれた。令和3年3月にスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が収容中に死亡した問題も考慮したもので、政府は廃案となった旧法案との違いを強調するが、共通点も多く、丁寧な説明が求められる。
改正案に盛り込まれた「監理措置」は、不法滞在者の生活状況を報告したり保証金を納付したりする「監理人」を付けて逃走防止を図る代わりに、住居を制限するなどの一定条件下で施設の外で生活することを認める制度だ。
監理措置自体は、3年に国会提出され、廃案になった旧法案でも提起されていたが、斎藤健法相は7日の記者会見で「旧案から大きく修正した」と強調する。
今回の改正案では、不法滞在者を監理措置とするか収容するかの判断に際し、収容された場合の本人の不利益も考慮するよう新たに明記。3年の通常国会では施設への収容期間に「上限を設けるべきだ」との指摘も出たが、3カ月ごとに収容の是非を見直し、監理措置に移行しやすい仕組みとした。
全国の入管施設では現在、新型コロナウイルスの感染拡大で帰国が困難になるなどした影響もあり、施設から一時的に出す「仮放免」措置が増えている。監理措置は、仮放免を制度化する側面もあるが、外国人支援団体からは「監理人の負担が重すぎる」などの指摘も出ており、国会での議論の対象になりそうだ。(荒船清太)
入管難民法改正案を閣議決定 難民申請手続き適正化へ、「準難民」受け入れも