【北京=三塚聖平】中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)の王超(おうちょう)報道官は4日の記者会見で、5日に北京で開幕する全人代で「国務院(政府)機構の改革案」を審議すると発表した。中国共産党と国家機関の一体化を進め、党による指導をさらに強化する方針とみられる。
習近平国家主席は昨年の党大会で異例の総書記3期目入りを果たしており、全人代では異例の長期政権を支える首相など政府の主要人事を正式決定する。任期満了の李克強首相の後任として、習氏の地方勤務時代からの側近で党序列2位の李強(りきょう)・党政治局常務委員を選出する。
全人代の会期は13日までの9日間。開幕日には李克強氏が、最後となる政府活動報告を読み上げ、今年の経済成長率目標を表明する見通し。昨年の政府目標は「5・5%前後」だったが、実績は3・0%にとどまった。今年はゼロコロナ政策の終了を受けて経済回復が見込まれており、市場関係者の間では5%台の目標設定を見込む声が多い。
全人代では、国防費を含む予算案も審議する。王報道官は会見で、「(国防費の)増加幅は適度で合理的なものだ」と主張。具体的な増加幅への言及を避けつつ、軍事拡張路線を正当化した。
一方、中国の国政助言機関、人民政治協商会議(政協)の第14期全国委員会第1回会議が4日、北京の人民大会堂で開幕した。汪洋(おうよう)主席は活動報告で、昨年のペロシ米下院議長(当時)の訪台などで「(政協は)闘争精神を発揚した」と強調。「国家主権、安全、発展の利益を断固守り抜いた」と成果を訴えた。
汪氏は政協の主席を退任し、11日までの会期中に党序列4位の王滬寧(おうこねい)・党政治局常務委員が後任に選出される見通しだ。
政協は、全人代と合わせて「両会」と呼ばれ、中国で重要な政治イベントと位置付けられている。