野球の国・地域別対抗戦の第5回「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)に出場する韓国代表の高祐錫(コ・ウソク)投手が、日本代表の大谷翔平選手に対して「故意死球」を示唆する発言をしたことで、自ら釈明する事態に陥っている。高は「(大谷に対し)わざわざ当てようと思ったことはない」としているが、地元の韓国メディアからは「不用意な発言には注意してほしい」と自省を求める声が上がっている。
「投げるところがなければ、尻に遅いボール」
高は現在、韓国プロ野球のLGに所属。150キロ台の直球が持ち味のリリーフ投手で、2021年東京五輪にも出場した。
スポーツソウル(日本語電子版)によると、高は今年1月にWBC韓国代表に選出されたことで、地元テレビ局・KBSのインタビューを受けた。その際、WBCでの大谷との対戦について「真ん中に投げて(大谷が)ホームランを打つのかという考えが先に浮かんだ。本当にいざマウンドに上がったとき、投げるところがなければ、痛くないところに(ボールを)当てなければならない」などと発言したという。
この発言について、高は2月末、韓国メディアの「SPOTV NEWS」のインタビューを受け、改めて真意を問われた。
記事によると、高は「(KBSのインタビューを受けた1月の時点では)WBCまで期間があり、どう相手すべきかまだ考えていない状態だった」とし、「本当に投げるところがなければ、尻に遅いボールを投げると(いう意味で)言った」と説明。「しかし、本来の私は全くそうではない。投げるところがないからといって、わざわざ当てようと思ったこともない」と釈明した。
さらに、記事では「野球選手として見たとき、大谷はすばらしい。限界に挑戦している姿はすごい」と大谷を称賛。「それでも同じ野球選手として(大谷に)勝ちたいと思うのは当たり前のことだ」と大谷との対決に意欲を示した。
過去には韓国国旗を立てるパフォーマンス
今回の第5回大会で日本と韓国は、1次リーグB組で同一グループに所属。10日に対戦を控えている。
スポーツソウルは今回の高の発言について「WBCでは実に14年ぶりとなる日韓戦で、両国内で注目度が高まっている状況なだけに、不用意な発言には注意してもらいたいものだ」と自省を求めた。
WBCでの日韓戦をめぐっては、これまでも数々の「因縁」が刻まれている。
2006年の第1回大会、09年の第2回大会で韓国代表は、2次ラウンドでの日本戦の勝利後、韓国国旗をマウンドに立てるパフォーマンスを行った。また、第2回大会では決勝戦で日韓が対戦。延長戦の末、イチローの勝ち越し適時打で勝利を決めた場面は、現在も名勝負として語り継がれている。
14年ぶりとなる直接対決の行方が注目される。(浅野英介)