一部改良を受けたマツダのフラグシップモデル「MAZDA6(マツダシックス)」に大谷達也が乗った。初代アテンザ/マツダ6の誕生から20周年を祝した特別仕様車の乗り味をレポートする!
あえて20周年を選んだ意味
マツダ・アテンザおよびマツダ6の誕生20周年を記念する「マツダ6 20th Anniversary Edition」が発売された。
事実関係としては間違っていないものの、個人的に「なんでアテンザの誕生20周年を、マツダ6で祝うの?」と、違和感を覚えたのも正直なところ。アテンザの前身として「カペラ」という由緒正しいモデルが1970年から30年以上の長きにわたって発売されていたからだ。
初代カペラは、ベルトーネによってデザインされた兄貴分のルーチェによく似た流麗なデザインをまとって誕生。ロータリーエンジン搭載の2ドア・クーペもラインナップするなど、革新的なモデルとして注目を集めた。その後も1978年発売の3代目、1982年発売の4代目など、思わず振り返ってしまいそうになる美しいモデルをいくつも世に送り出してきた。
そんなわけで、「アテンザ20周年を祝うくらいなら、2020年にカペラ50周年を祝うべきだったんじゃない?」と、思ってしまったのである。
しかし、マツダ6の歴史を詳しく見ていくと、マツダがアテンザの20周年にこだわった理由が見えてくる。
アテンザの誕生は2002年。実は本モデル、海外では当初からマツダ6として発売されていたのだ。したがって、2019年に国内でのモデル名をマツダ6にあらためたのは、“海外とモデル名を統一した”と、捉えるのが順当なのである。
マツダがモデル名をアテンザのような固有名詞からアルファベットや数字との組み合わせに置き換えているのは、マツダとしてのブランド性を高めるのが最大の目的。“セダン、SUV、クロスオーバーという車型の違い、そしてサイズの違いはあっても、マツダの価値観はモデルにかかわらず共通”の思いがあればこそ、各モデルに固有の名称を与えず、まるで記号のように単純化した名称を用いているのだ。これはメルセデスやBMWといったドイツ・プレミアムブランドでもお馴染みの手法である。