生産終了のボーイング747、“世界を小さく”したジャンボ機の引退が「遅すぎた」と言えるワケ

こうした動きも踏まえてCiriumは、今後20年で航空会社に納品される航空機は、10機中7機が小型の単通路型のものになるとみている。すでに小型の単通路機の市場は年間1兆6,000億ドル(約210兆円)になっており、これは双通路機の市場規模である年間1兆1,000億ドル(約140兆円)を超えている。ボーイングもエアバスも、当初は大型の双通路機を生産するために設計した施設で、小型の単通路機向けのスペースを増やしている。

「極めて効率が高く経済面で航空会社にメリットがある2発エンジンのワイドボディー機が、旅客の観点から好まれるようになっています」と、Sobie Aviationのソビーは説明する。

これから航空旅行の「黄金時代」がやってくる?

だが、こうした問題はどれも数十年前から認識されていたことだ。航空業界は長年にわたって経済面と燃料面での効率向上を模索しており、ボーイング747はその第1号機が飛び立ってから間もない段階で、より新たな技術に抜かれていたのである。技術面、経済面、そして商業面で検討を重ねても、いまもボーイング747が使われているのは、人々が思い描く航空旅行のイメージにおいてボーイング747が中心的な存在であり続けてきたからだ。

JLS Consultingのストリックランドにとって、ボーイング747は初めて目にした航空機のひとつだった。当時はまだテスト段階だったので、ストリックランドはいまもボーイング747に特別な思いを寄せている。RW Mann & Companyのマンはボーイング747への憧れから、パリの凱旋門の近くにクルマを停めて、このパリのモニュメントの上空を飛行するボーイング747を写真に収めたこともあるという。

ボーイング747は50年近くにわたり、多くの人々にとって航空機の代名詞的な存在であり続けてきた。人々が思い描く航空旅行には欠かせない存在であり、それはいたって当然のことだろう。

一方で、マンは次のようにも指摘する。「航空旅行の黄金時代がいつなのかは人々の考え次第ですから、本当の黄金時代はいまかもしれません。これからやってくるのかもしれません」

(WIRED US/Edit by Daisuke Takimoto)

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