「同じような人を生みたくない」 中国で拘束の鈴木氏 外務省には苦言

中国人権侵害究明議連で講演する元日中青年交流協会鈴木英司理事長=2月17日午前、国会内(矢島康弘撮影)
中国人権侵害究明議連で講演する元日中青年交流協会鈴木英司理事長=2月17日午前、国会内(矢島康弘撮影)

超党派の国会議員でつくる「中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟」(会長・古屋圭司元国家公安委員長)は17日、国会内で総会を開いた。スパイ容疑で中国当局に約6年間拘束され、昨年10月に帰国した日中青年交流協会の元理事長、鈴木英司氏が講演。拘束から解放までの状況を語り、「私と同じような人を生みたくない。中国の人権状況を何としても変えてほしい」と訴えた。

鈴木氏は日中交流推進のため2016年までに200回以上訪中したが、同年7月、北京の空港で男6人に「スパイ罪の疑いがある」として突然、車に押し込まれた。アイマスクをつけられて連行された隔離施設では、逮捕前の尋問を行う「居住監視」が約7カ月間続いた。

鈴木氏は当時の状況を「時計も書くものもテレビもない。トイレもシャワーもドアがなく、運動もできない。カーテンは閉め切りで、夜は電気をつけた状況で寝る。全く人権のない場所だった。頼み込んで1度だけ窓際で太陽を15分間見たが、これはうれしかった」と振り返った。

鈴木氏は17年に起訴され、その後懲役6年の実刑判決を受け刑務所に収監。弁護士は無罪を主張する鈴木氏に罪を認めて謝罪すれば刑期を1年程度短縮できると説得したが、鈴木氏は拒否。裁判長に手紙も書いたが徒労に終わった。

鈴木氏は中国がスパイ行為摘発を強化するため「反スパイ法」の改正作業を進めていることに触れ「これからどんどん私のような人が出てくる可能性が高い」と警鐘を鳴らした。一方、日本外務省の対応には苦言を呈した。弁護士選定や大使館員との面会、解放に向けた動きが十分ではなかったとし、「外務省はどれだけ現地の日本人のことを考えているのか」と語った。

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