【ウクライナ侵略1年】キーウ市内のバレエ学校で講師として働くオレクサンドラ・ベリンスカさん。「開戦当時、初めて爆発音をこの耳で聞いた時に、これが現実なんだと悟った。バレエをしている間だけは戦争のことを忘れることができる、美しい趣味に没頭する生徒にも悲しんでいる姿は見せられない。ウクライナから避難した生徒ともオンラインで授業をする、『バレエをしている間だけはウクライナにいるようだ』と話してくれる。ドンバスでハリコフで日々激しい戦闘が起き、男(兵士)たちが戦場で戦っている。そのことに報いるため、彼らの戦いを無駄にしないために頑張って自分の生活を送る、努力して普通の人生を過ごす。それが私達の役目」と話した=13日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)ロシアがウクライナへの侵略を開始してから24日で1年になる。産経新聞の遠藤良介記者と川口良介カメラマンがウクライナに入り、取材を続けている。
キーウの町は今、どのような様子なのか、攻防のポイントは何か、ウクライナはどんなシナリオを描こうとしているのか。
11年半もの長きにわたってモスクワ特派員を務めた遠藤記者が現地の状況と見通しをリポート。川口カメラマンは子供たちの様子など市民の生きる姿を精力的に撮影している。
【ウクライナ侵略1年】厳しい寒さの中、除雪作業が行われる独立広場=7日午前、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】聖ミハイル黄金ドーム修道院の外壁には、戦闘で亡くなった兵士たちの写真が貼られている=7日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】聖ミハイル黄金ドーム修道院の外壁には、戦闘で亡くなった兵士たちの写真が貼られている=7日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】聖ミハイル黄金ドーム修道院前の広場には、侵攻に用いられ破壊されたロシア軍戦車など戦闘車両が並ぶ=7日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】開戦時に道路を塞いでいたバリケードが、独立広場の隅に放置されている=7日午前、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】独立広場に並ぶウクライナ国旗の小旗=7日午前、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】多くの車が行き交うキーウ市内=7日午前、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】着ぐるみを着て、独立広場周辺で旅行者相手に客引きをしているセルゲイさん。「ここを通るのは地元の人間か、ジャーナリストばかり。ミサイルを怖がって観光客なんかいやしない。早くプーチンとバイバイしたいよ」と話した=7日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】イギリスへ行くためポーランド国境の町、プシェミシル行きの列車に乗るカテリーナ・リリックさん(25)は「寂しい、行きたくない、ここにいたい」と涙=8日午前、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】イギリスへ行くためポーランド国境の町、プシェミシル行きの列車に乗るカテリーナ・リリックさん(25)は「寂しい、行きたくない、ここにいたい」と涙を流す。そんな娘を見送る母親のナターリャさんは「戦争がなければ彼女はウクライナで仕事を続けていた。キーウにいるより、イギリスにいるほうが安全だから。寂しいけれど、それもまた人生よ」と話し、窓越しに手を重ねた=8日午前、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】オーストリアのウィーンへ向かう列車を見送る男性=8日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】ロシアによる攻撃のため停電が続き、厳しい寒さとなる冬のキーウを避けるためイタリアで2ヶ月間仕事をして帰ってきたボロダウコ・ヤナさん(22)。花束を手に出迎えた彼氏のチェルケス・ユリーさん(23)を見て思わず涙を流し「心境ですか?泣くぐらい嬉しいですよ。今はただ彼と同じ時間を過ごしたい」と話す。成人男性は国外に出ることができないため「国内ですが、彼女とリビウまで旅行に行きたいですね」とユリーさんは話した=8日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】イタリアで2ヶ月間仕事をして帰ってきたボロダウコ・ヤナさん(22)と花束を手に出迎えた彼氏のチェルケス・ユリーさん(23)=8日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】キーウ駅でポーランド・ワルシャワから到着した列車を出迎え、11ヶ月ぶりに妻と息子と再開した男性は「僕は世界で一番幸せな男だよ。今はただ一刻も早く家に帰りたいね」と話した=8日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】戦争による心理的負担を抱えた子供のための美術セラピー教室。停電の中でも僅かな明かりを頼りに、制作を進める=8日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】ウクライナで取材を続ける遠藤良介記者=8日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】戦争による心理的負担を抱えた子供のための美術セラピー教室に通うヴィクトリア・クラッシェークさん(11)は「私の学校にはシェルターがないので、今は授業がすべてオンラインでとても退屈(学校では空襲警報が鳴ると子どもたちはシェルターに入らなければならない決まりがある)。ここにくると実際に物に触ることができるし、大好きな絵も描ける。私にとって大切な時間。スマホの光で絵を描くのにも、もう慣れたから全然不便じゃないよ」と話した=8日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】スマホの光で絵を描くクトリア・クラッシェークさん(11)=8日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】キーウ近郊、イルピンの共同墓地。戦争が始まって以来、墓標は増え続けている=10日午後(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】キーウ近郊、イルピンの共同墓地。戦争が始まって以来、墓標は増え続けている=10日午後(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】キーウ近郊、イルピンの共同墓地。戦争が始まって以来、墓標は増え続けている=10日午後(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】破壊され積み上げられた車両。銃痕などが残る車体には、ヒマワリの絵が描かれていた=10日午後、ウクライナ・イルピン(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】ウクライナ東部のドネツク州バフムトで先月、28歳で戦死した息子の墓を訪れたというテキャナ・シュニヤさん。「彼の人生は私の人生、自分の存在と同義だった。生きていてほしかった。あなたを守れなかったことを許してほしい」と天国の息子へ語りかけた=10日午後、ウクライナ・ブチャ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】建物の外壁に残された路上芸術家「TVBOY」による作品=10日午後、キーウ近郊ブチャ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】ロシア軍が侵攻し、破壊されたキーウ近郊ボロディアンカの集合住宅=10日午前(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】ロシア軍が侵攻し、破壊されたキーウ近郊ボロディアンカの集合住宅に住みついている猫。後ろの壁に書かれているのは「他の何よりもウクライナ」という標語=10日午前、(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】ロシア軍の攻撃により破壊された集合住宅の前でタバコを吸うオレクサンドル・シュールガチュさん(47)は「住んでいた家(集合住宅)は破壊されて中に入れない。いつも支えてくれた母は、ロシアのミサイルによって亡くなった。国が指定したシェルターに避難していたんだけどね。辛く長い一年だったよ」と話した=10日午前、ウクライナ・ボロディアンカ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】ロシア軍が侵攻し、約1ヶ月駐留していたというボロディアンカのレストラン。残飯や、動物の骨が残されていた=10日午前(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】ロシアによる攻撃を受け倒壊したボロディアンカの集合住宅。1階のレストランには約1ヶ月ロシア軍が駐留していたという=10日午前(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】キーウ近郊で、破壊され道路脇に放置されたロシアの戦車に残された路上芸術家「TVBOY」による作品=10日午前(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】路上芸術家「バンクシー」によるものとされる、ボロディアンカの倒壊したコンクリート壁に描かれた柔道をする子どもの絵=10日午前(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】1日に約8時間の計画停電が続き、キャンドルに火をつけるスタニスラヴ・テスレンコさん(37)は「戦争が始まり、次に何が起こるのかわからない緊張状態が続いた。その結果すぐ先のことも見通せなくなり、自分が何をするか、何がしたいのかわからなくなった。食料品も5割値上がり、ものによっては2倍3倍の値段になった。停電は問題だが1番ではない。戦争そのものが1番の問題。ポジティブにいられない長い苦しい1年だった。問題なく旅行に行き、平穏に暮らすことのできる世界、それを切に願っている」と話した=11日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】1日に約8時間の計画停電が続く中、23階からスマートフォンの明かりを頼りに階段を降りるスタニスラヴ・テスレンコさん(37)=11日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】明かりが消えた住宅の前に立つスタニスラヴ・テスレンコさん=11日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】薄暗い部屋の中でパソコンに向かうプログラマーのスタニスラヴ・テスレンコさん(=11日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】地下鉄「Palats Sportu」駅構内=11日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】地下鉄「Kontraktova ploshcha」駅構内=11日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】キーウ市内の建物に描かれた架空のパイロット「キーウの幽霊」の壁画=11日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】局地紛争博物館前に展示されているロシア製のミサイルと戦闘機の燃料タンク。外壁には「ウクライナはヨーロッパの盾」の文字=12日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)局地紛争博物館前に展示されているロシア製のミサイルと戦闘機の燃料タンク=2月、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】市内の公園の地面に書かれた「アゾフ連隊を守って」の文字=12日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】祖国記念碑(祖国の母の像)=12日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)ドニエプル川と祖国記念碑(祖国の母の像)=2月12日午後、ウクライナ・キーウ(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】多くの人が行き交う日曜日のキーウ市中心部=12日午後(川口良介撮影)【ウクライナ侵略1年】多くの人が行き交う日曜日のキーウ市中心部=12日午後(川口良介撮影)