野球の国・地域別対抗戦のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場するプロ野球・オリックスの山本由伸投手(24)が、米メディアの注目を集めている。2年連続でパ・リーグの最優秀選手(MVP)を獲得した右腕は、今季のレギュラーシーズン終了後にポスティングシステム(入札制度)を利用して米大リーグ(MLB)に挑戦する可能性があることから、「入札合戦を引き起こす期待がある」と指摘するメディアも出ている。
フォークとカーブは「ワールドクラス」
山本は2017年、宮崎・都城高からドラフト4位でオリックスに入団。2021年に自己最多の18勝を挙げると、昨季も15勝を挙げてチームのリーグ連覇に貢献。先発投手として最大の栄誉とされる沢村賞も獲得した。
米紙ニューヨーク・ポスト(電子版)は「山本はWBCをMLBへの出発点にすることを望んでいる」と題して特集記事を掲載。記事では「アメリカはWBCに向け、間違いなくこれまでで最も豪華なチームを編成している。しかし、日本のパ・リーグMVPを2度受賞している先発の山本が(WBCに)出場する予定であることを忘れてはいけない」として、山本がWBCに日本代表として出場することを紹介した。
将来的なMLB挑戦について同紙は「ポスティング(入札)するかどうかは最終的には球団次第だが、山本の場合は『(MLBに)来る』という期待と、『入札合戦を引き起こす』という両方の期待がある」と指摘。その上で「(日本で)証明すべきことは何も残っていない。彼は(メッツに入団した)千賀よりもワンランク上だと思う」と分析するMLBスカウトの談話を紹介した。
さらに「彼のスプリッター(フォークボール)とカーブはワールドクラスで、速球は一貫して94、95マイル(時速151、152キロ)を投げる。コントロールも非常にいい」として、球種や制球力を評価するMLB球団関係者の談話も取り上げた。
懸念材料は「小柄な体格」
一方、MLBの移籍情報を取り扱う米専門サイト「トレード・ルーマーズ」は、山本について「スカウティングレポートを読むと、その小柄な体格(身長178センチ)が少なくとも大リーグのスカウトにとっては気になるところだと指摘されている」として、MLBの投手としては小柄な点に言及。「このサイズの投手が先発の仕事量に耐え、エリートレベルのパフォーマンスを発揮した実績はほとんどない。もちろん、山本が例外になり得ないというわけではないし、一般的なコンセンサスは彼がそうなる可能性が非常に高い」として、小柄であってもMLBで高いパフォーマンスを発揮することを期待した。
WBCはMLBの関係者にとって、海外の才能ある選手を間近で情報収集できる貴重な機会。将来的なMLB挑戦を視野に入れる山本にとっても、WBCは貴重なアピールの場となる。(浅野英介)