――新型コロナウイルス禍で落ち込んだ鉄道需要が回復しつつある
「コロナ禍は少しずつ収束に向けた動きが見えつつある。ただ、ウクライナ危機や原材料高などが続き、日本経済の先行きは依然不透明だ。そのような状況下で、鉄道事業の再生の動きを進めている」
――昨年は全国的に経営が悪化するローカル線を巡り、国や地方自治体との議論の促進を訴える発言が目立った
「鉄道の需要が減少しており、地方のローカル線は深刻な経営悪化が続いている。社会的に重要な使命があるこれらの路線に、どうすれば持続性を持たせられるのか。その議論を進めるべきだと感じている」
――昨年春には、経営悪化が著しい一部ローカル線の収支状況も公表した
「ローカル線の実情について、国、自治体に客観的に理解し、考えていただきたいという思いがあった。国においては政策論議が開始され、一定の方向性も出された。大変ありがたかった」
――沿線自治体との協議は
「ローカル線の利用促進に向けた協議は一部で行われているが、(存廃を含む)将来像をめぐる議論は、まだテーブルにも着けていない状況だと思う。実施を要請しているが、協議は進んでいない。自治体側からの提案を聞くためにも、そのような場は必要だと思う」(黒川信雄、写真も)
◇
はせがわ・かずあき 東大法卒。昭和56年、日本国有鉄道入社。JR西日本取締役、副社長などを経て令和元年から現職。三重県出身。