コンビニに並ぶ、ドリップコーヒーとチョコのセット(500円)。パッケージ内の紙にあるQRコードにスマートフォンをかざすと、コーヒー豆を選別する女性の笑顔と、「女性コーヒー農家に学びの環境を」とのメッセージが現れた。
首都圏の「ナチュラルローソン」で発売中の商品で、売り上げの一部が中南米のコーヒー豆やアフリカのカカオ豆の生産農家などの支援に回る。
商品を手掛けたのは、三菱商事グループのインパーフェクト(東京)。「不完全」を意味し、ロゴマークも一端が欠けている。
「世界には解決すべき社会課題があること、またその欠けた部分を、完璧でなくてもいいから一人一人が『行動』して埋めていこう、との思いを込めた」と佐伯美紗子社長(37)。
QR経由でつながるWEBページでは、農家の収入の不安定さや、環境保全との両立の重要性、ブラジルでコーヒー生産農家を目指す女性の進学支援をしたことなどを伝える。
東京・表参道ヒルズにある直営店では、コーヒーやナッツ、チョコレートなどをおしゃれなパッケージで販売。ユニークなのが、購入者に渡す小さな扇形の「投票チップ(投票券)」だ。店内には生産者支援プロジェクトの投票箱が3種あり、中から1つ選んで投じてもらうことで、購入者が遠くの国の課題をより身近に感じ、解決に参加できるという試みだ。
目指すのは日常の消費の選択肢に新たな視点を加えること。「安くてお買い得か、だけでなく、それを買うことで社会に貢献できるとか、環境を守れるといった基準で選ぶことをいつか当たり前にしたい」
(津川綾子)