風力発電ベンチャーのチャレナジー(東京都墨田区)が、小型の「マイクロ風車」で風力発電の市場開拓に動いている。プロペラ型風車に比べ騒音を抑えられる別方式の風車を採用、都市部での普及を目指す。寒冷地でも活用できるマイクロ風車の実証も進めており、災害時の非常用電源などとして採用を働きかける考えだ。
開発したマイクロ風車は、「サボニウス型」という方式を採用した。垂直に伸びた板状の風車が回転して発電する構造のため、出力は弱いものの、騒音を抑えられるメリットがある。風速が毎秒3メートルから発電でき、14.5メートル以上になると回転を止め、風見鶏のように風を受け流すことで暴走や破損を回避する仕組みとなっている。
出力は100ワットで、風速が3メートルに満たない日中でも発電できるように太陽光パネルを備えている。都市部でも非常用電源として需要があるとみており、学校や公園、災害時の避難施設などへの設置を見込む。
寒冷地での活用も視野に入れている。再生可能エネルギーは寒冷地でも普及が進むが、積雪による太陽光発電の発電量低下や、風力発電ではプロペラ型風車のブレード(羽根)への着氷、着雪に伴う破損リスクもある。このため、風車部に雪が付着しにくい特殊塗装を施した寒冷地仕様のマイクロ風車の開発を進めている。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援事業の採択を受け、昨年12月から青森県六ケ所村で寒冷地仕様のマイクロ風車6基による実証に着手。実証結果を踏まえ、早ければ4月以降の実用化を目指している。
チャレナジーは平成26年に設立した風力発電に特化した開発型ベンチャー。風速40メートルまで発電できる「マグナス式」など独自の風車を手掛けており、台風の通り道となる島国などをターゲットに市場開拓を進めている。マイクロ風車についてもフィリピンやマダガスカルなど海外への展開を進めていく。(高橋俊一)