電通元幹部、応札辞退要求か 五輪談合

広告大手「電通」の東京本社=東京都港区(岩崎叶汰撮影)
広告大手「電通」の東京本社=東京都港区(岩崎叶汰撮影)

東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕された広告大手「電通」元幹部の逸見(へんみ)晃治容疑者(55)が、入札への参加を希望していた事業者側の意向を確認していたことが9日、関係者への取材で分かった。一部の事業者には、応札を辞退するよう求めていたこともあったという。

東京地検特捜部は、逸見容疑者が大会組織委員会大会運営局元次長の森泰夫容疑者(55)=同法違反容疑で逮捕=とともに談合を主導したとみて、調べを進めている。

関係者によると、逸見容疑者は電通社内でテスト大会の計画立案支援業務の入札に関する業務を担当。電通から組織委に出向し森容疑者とともに企業側の応札希望の状況を取りまとめた「リスト」を更新するなどしていた担当者から、森容疑者が事業者側から聞き取った内容を共有していた。

逸見容疑者は森容疑者と同様に、複数の企業の担当者と接触。応札の意向を聞き取ったり、応札を断念するよう伝えたこともあったという。

逮捕前の任意の事情聴取に対し、逸見容疑者は当初、談合の認識について否定。最近になり趣旨も含め談合を認めていたが、特捜部は、電通社内でこうした主要な役割を担っていたことから、逮捕が必要だと判断したもようだ。

事件では、ほかにイベント会社「セレスポ」専務、鎌田義次容疑者(59)、「フジクリエイティブコーポレーション」専務、藤野昌彦容疑者(63)も同法違反容疑で逮捕されている。

談合があったとされた計画立案支援業務の入札は平成30年に計26件実施され電通など9社と、うち2社による共同事業体が総額約5億4千万円で落札。9社はその後、テスト大会や本大会の運営などを入札を伴わない随意契約で受注。総額は400億円規模に上る。

特捜部は、受注調整は本大会なども含めて一体的に行われたと認定した。

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