月利4%の高利率で金を運用できるとうたい、若者らから集めた現金を海外カジノなどにつぎ込んでいたなどとして、警視庁は、詐欺の疑いで、投資運営会社「フリッチクエスト」の社長、森野広太容疑者(38)ら男女8人を逮捕した。捜査関係者への取材で9日、分かった。被害は20~30代を中心に全国約3300人に上り、被害総額は約200億円に上るとみられている。
捜査関係者によると、フリッチクエスト社は、アフリカの会社に投資業務を委託していると説明。コンサル料を除いた出資金の3割は為替運用し、残る7割は国債といった安全な金融商品に投資などするとして勧誘していた。平成28年3月ごろから投資を募っていたとされる。
「月利4%」「必ずもうかる」などと、うたっていたが、実際に委託先の会社はペーパーカンパニーで、集めた現金は暗号資産の投資や海外カジノにつぎ込まれていた。
一方、配当は毎月26日に「おもてなし会」と称する会合で一部出資者に現金を手渡しする形で行われていたが、自転車操業状態で令和3年12月を最後に完全に滞っていた。出資者の3分の2は20~30代の若者。出資も現金で行われていたが警視庁は、こうした現金でのやりとりは、足がつかないようにする工作だとみている。
また、平均出資額は約700万円に上るとみられているが、若者らは勧誘員らの指南で銀行や消費者金融などで借りて工面していたという。融資を受ける際には生活費や冠婚葬祭名目にすると噓を言うのにも指南していた。
警視庁生活経済課が情報提供を受け、4年1月にフリッチクエスト社の家宅捜索を実施し、捜査を進めていたという。
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投資詐欺に詳しいワンピース法律事務所の杉山雅浩弁護士の話「フリッチクエストは、社会経済を知らない若者がターゲットにされ、英語の契約書でサインさせたり、一度に何社も借り入れさせたりするなど悪質。すべて現金で証拠も残していない。投資詐欺の被害防止には、利率は現実的か、金融商品取引法上の登録を受けているかどうかなどを確認するようにすべきだ」