ロシアの侵略を受けるウクライナへの支援として、横浜市が姉妹都市のオデッサ市に寄付した移動式浄水装置が活用されている。ウクライナ国内でインフラ施設が被害を受ける中で昨年5月に支援要請を受け、横浜市は手探りの中で確保に動いた。オンライン会議などで使い方を伝え、近隣の都市を含めて現地の生活に欠かせない水の供給に貢献している。
「Yokohama stand with Odesa(横浜はオデッサとともに)」
オデッサ市に寄り添うメッセージを書いた紙が貼られた浄水装置の前には容器を持ったウクライナの人たちが列を作る。オデッサ市が1月に公開した画像の光景だ。横浜市の担当者は「前例がない中で取り組んできたが、浄水装置がしっかり機能して良かった」と胸をなで下ろす。
昨年5月中旬、山中竹春市長とオデッサ市長のオンライン会談でオデッサ市側から移動式浄水装置の支援を要請された。当時、近隣のミコライウ市で水道施設が被害にあい、水供給に支障が出ていたため、オデッサ市でも備えの必要性が高まっていたという。
「どのような移動式浄水装置があるのかを調べるところから始まった」(横浜市担当者)。水関連の技術を持つ企業400社程度をリストアップ。そこから装置を手がける数十社までに絞り込み、比較的簡単に移動できるか、在庫はあるかなどを確認し、33台を確保した。合計で1日当たり10万人分相当の飲用水(1人3リットル換算)を提供することが可能で、国際協力機構(JICA)の協力を得て、7月に現地に届けた。
横浜市はメール、オンライン会議などを通じて装置の使い方などを説明し、オデッサ市側からは「安心でき、心強い」と感謝された。9月にはこのうちの5台がオデッサ市からミコライウ市に貸与され、力を発揮。その後、オデッサ市も発電施設の被害の影響で水の供給に支障が出るようになり、同市でも使用されるようになったという。
横浜市は12月には、厳しい寒さにも耐えられるようにと防寒服を上下で1900セット、上着80着、靴に入れて使うカイロ1万足分も寄付している。
両市は昭和40年に姉妹都市となり、交流を続けてきた。横浜市の担当者は「少しでも早く日常生活が戻ることを願っている。オデッサの復興に向けて寄り添っていきたい」と話す。