日鉄、値上げ浸透で過去最高益

日本製鉄本社が入るビル前の看板=東京都千代田区
日本製鉄本社が入るビル前の看板=東京都千代田区

鉄鋼大手3社の令和4年4~12月期連結決算が9日出そろった。鋼材需要が減少する中、各社ともコスト削減や原材料の値上がりに対する価格転嫁に取り組んだが、最終利益は増益を確保した日本製鉄に対し、JFEホールディングス(HD)と神戸製鋼所は減益と明暗が分かれた。

この日決算を発表した日鉄は、本業のもうけを示す事業利益が前年同期比2・4%増の7618億円、最終利益が同1・8%増の5171億円と、ともに過去最高を更新。売上高は同20・6%増の5兆9616億円だった。粗鋼生産量は減少したものの、コスト削減や値上げ浸透による利ざや拡大で補った。オンラインで記者会見した森高弘副社長は「外部環境に左右されない収益構造の構築に向けた取り組みが正しかった証左だ」と述べた。

この日は神鋼も決算を発表し、最終利益は同12・2%減の475億円だった。6日に決算を発表したJFEHDは、生産減や円安による原材料の輸入価格上昇が響き、同35・5%減の1439億円となった。

5年3月期の最終利益は神鋼が予想を引き上げ、日鉄は据え置いた。JFEHDは従来予想より50億円少ない1500億円(同47・9%減)に下方修正した。(井田通人)

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