大阪駅北側の「うめきた地区」を走る東海道線支線が2月13日から地下化される。3月18日に大阪駅地下ホームが開業すると、これまで近くを通過していた関西国際空港のアクセス特急「はるか」、和歌山方面への特急「くろしお」の「大阪駅停車」が実現するほか、新大阪までだったおおさか東線が乗り入れるなど、旅客列車の利便性が向上する。
「JTB時刻表」(JTBパブリッシング刊)の索引地図を開いてみよう。東海道線の新大阪駅南側から分岐し、大阪駅に寄らずに福島駅東側で大阪環状線に合流する二重線がある。これは「旅客列車が走る貨物線」で現在、「はるか」や安治川口発着の貨物列車などが地上を走っている東海道線支線を示している。
JTB時刻表が索引地図に旅客列車が走る貨物線を追加したのは2018年12月号から。東海道線支線のほか、武蔵野貨物線なども記載されるようになった。しかし、今回の大阪駅地下ホーム開業に伴い、JRグループの3月18日ダイヤ改正後の時刻が掲載される23年3月号(2月25日発売予定)から、新大阪-福島間の二重線は消えるという。
JTBパブリッシングでは「新大阪駅と福島駅間に大阪駅が設置されますので、3月号からは貨物線の記載を削除する形で索引地図を修正する予定です。新大阪-大阪間は東海道本線の線路が記載されておりますので、この区間の一部に含まれていると解釈いたします」と説明する。
地下化に伴う変化は貨物列車にも及ぶ。地下の区間から地上に出る際、新大阪方面で最大23・5パーミル(千メートル進んで23・5メートル登る)、西九条方面で22・6パーミルの上り坂ができたため、編成の最後尾に後押しのための補助機関車を連結することになったのだ。
「はるか」などの電車は問題ないが、約千トンの重量があり、モーターのない貨車を先頭の機関車が引っ張るだけでは登れないためで、JR貨物によると、定期の貨物列車で補機をつけるのは、ほかには広島県内を走る山陽線にあるだけ。瀬野駅-八本松駅間の通称「セノハチ」と呼ばれる22・6パーミルの急勾配に対応するため、上り列車のみ、広島貨物ターミナル駅と西条駅間の30・2キロで補機がついている。
「うめきた」の補機は吹田貨物ターミナル駅から新大阪駅、大阪駅地下ホーム、西九条駅を経て安治川口駅までの16キロで2往復(始発日基準で休日など運休あり)に連結される。
「うめきた2期」エリア内に位置する大阪地下駅には顔認証で入退場ができる改札機や列車の扉に合わせて移動するホームドアが設置されるなど、華やかな最新鋭技術が投入される。その駅を通る貨物列車が目指すのは、変わらぬ安全運行だ。JR貨物インフラ整備推進部副部長の椿辰治さんは「これからも安定した輸送サービスをしっかり提供していきたい」と話している。(鮫島敬三)