米、中国の「世界的偵察気球計画」を同盟諸国に説明

5日、米南部サウスカロライナ州沖で、偵察気球の残骸を回収する米海軍の爆発物処理班(米海軍提供・共同)
5日、米南部サウスカロライナ州沖で、偵察気球の残骸を回収する米海軍の爆発物処理班(米海軍提供・共同)

【ワシントン=渡辺浩生】ジャンピエール米大統領報道官は8日の記者会見で、米本土や世界各地に飛来したとされる中国の偵察気球について「監視活動のために開発された中国の気球船団の一部だ」と述べ、米政府が同盟・友邦諸国と連絡を取り合っていると明らかにした。

国防総省のライダー報道官も8日の記者会見で、米国の基地を含む戦略施設の監視・偵察を目的に数年間にわたり運用されてきた大規模な偵察気球計画の一部だと指摘し、「民間の気象研究用」とする中国政府の主張を改めて否定した。

8日付の米紙ワシントン・ポストは米当局者の話として、気球は海南省などから発進し、日本やインド、ベトナム、台湾、フィリピンなどにある軍事施設の情報を収集してきたと報じた。海南省には潜水艦基地などの海軍施設がある。

同紙はまた、国務省のシャーマン副長官らが約40カ国の大使館に状況を説明し、米当局者が日本など軍事施設監視の標的となった同盟諸国と特定情報の共有を始めたとも報じた。

1月末に米本土などに飛来した偵察気球は4日、米東海岸沖の上空で米軍機が撃墜。米政府は回収した残骸を分析し、能力や収集情報の解明を急いでいる。

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