自転車の部活中に転倒し後遺症、京都府に約7400万円賠償命令

京都地裁=京都市中京区
京都地裁=京都市中京区

京都府立北稜高(京都市)の自転車競技部の活動中に転倒し、歩けなくなる後遺症を負ったのは顧問が注意義務を怠ったことが原因として、元生徒の男性(23)らが府に約1億7千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が9日、京都地裁であった。松山昇平裁判長は「転倒は予見でき、顧問は特別な指導をしなかった注意義務違反があった」として府に計約7400万円の支払いを命じた。

判決によると、転倒事故は平成27年5月に発生。高校1年だった元生徒は1カ月前に入部したばかりで、競技経験はなかった。事故当日は上級生とグループになって下り坂を走行中、カーブを曲がり切れずにガードレールに衝突して側溝に転落し、両脚のほとんどの機能を失うなどの後遺症を負った。

松山裁判長は判決理由で、競技用自転車の扱いに慣れていない初心者の元生徒と上級生を一緒に走らせれば、「転倒してしまう可能性を予見することはできた」と指摘。元生徒に、上級生の速度に合わせて走行する必要はないことなどを伝える特別な指導を行うべき注意義務があったのに怠ったと認定した。

府教育庁は「判決の内容を精査して対応を考える」とした。

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