トルコ地震 厳冬で物資輸送に支障も 車列停滞に焦燥感

7日、トルコ北西部ボル県の休憩所で、あふれかえった支援物資物を運ぶトラックなど(板東和正撮影)
7日、トルコ北西部ボル県の休憩所で、あふれかえった支援物資物を運ぶトラックなど(板東和正撮影)

トルコ南部を震源に6日発生した大地震を受け、国内では被災地に支援物資を届けようとする動きが本格化している。ただ、物資を車に詰め込んでも、雪の影響などで輸送が遅れかねないとの声も上がる。円滑に支援が進むかは見通せない。

震源となったトルコ南部から780キロ余り。トルコ北西部ボル県の休憩所は、食料や衣服などの物資を届けるため、被災地に向かうトラックやバスであふれていた。休憩所内の飲食店では、自治体の関係者やボランティアの市民らがトルココーヒーを手に、運転の疲れを癒していた。

「今は緊急事態だ。どんな車も支援のために使用しなければならない」。震源に近い南部カフラマンマラシュに向かう途中というイスタンブールの男性はそう語り、焦燥感をみせた。

現地メディアなどによると、一部の自治体はおむつや毛布や電気ストーブなどを陸路で被災地に送っている。トルコ紙デイリー・サバは地震を受け「トルコは団結している」と報じた。

ただ、冬の気候は厳しい。ボル県でも夜間は零下10度近い。極寒と吹雪は支援の動きを鈍らせる恐れがある。支援のため被災地を目指す20代の男性は「雪のため視界が悪く、車で移動するのはとても危険だ。普段より減速して慎重に運転している」と語った。

ロイター通信などによると、被災地では雪などの悪天候や重機の不足に悩まされ、倒壊した建物のがれきの中から生存者を捜索・救出する活動が難航している。まだ安否が確認されていない市民も多く、世界保健機関(WHO)は今後、死者数がまだ大幅に増える恐れがあると警告した。

トルコ政府の地震対策が万全ではなかったとの見方も出ている。

トルコは世界でも地震活動が活発な地域の一つとされ、1999年に西部イズミットを中心として発生した地震では約1万7千人が犠牲となった。この地震を受け、政府は2004年、新築の建物に最新の耐震基準を満たすことを義務化する法案を可決した。ただ、低所得者が多く暮らす南部は耐震対策が遅れていたとみられている。

自然災害の英専門家、カルメン・ソラナ氏は英BBC放送に「残念ながら、トルコ南部などでは耐震性のあるインフラは少ない」と指摘する。40代のイスタンブール在住の市民は「政府の対応は不十分だった」と不満をあらわにした。(トルコ北西部ボル県 板東和正)

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