昨年12月、安全保障関連3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)が閣議決定された。現実的な情勢認識の下、国際協調を旨とする積極的平和主義を維持しつつ、我が国を守る責任は我が国にあるとして安全保障の能力、役割を強化するとした。
防衛力のみならず外交、経済、情報、技術といった諸力を総合的に用いる戦略的アプローチを重視し、優れた戦略といえる。強いて欠点をあげれば「核抑止戦略」の欠如がある。中国、ロシア、北朝鮮という核、ミサイルを保有する独裁国家に囲まれる環境下にあって「核抑止戦略」の欠如は画竜点睛(がりょうてんせい)を欠く。これについては本稿の主題でないので別稿に譲る。