第二章 狭山 五 (文・永井紗耶子)
「氏彦(うじよし)様は国元の政(まつりごと)や百姓の暮らしにも関心を持ち、今後の安寧(あんねい)に努めたいとお話しになっておられる。頼もしい御主君となられるであろう」
粂五郎(くめごろう)は、文(ふみ)にそう認(したた)めていた。
ああ、これで先代に仕(つか)えて来た己の役目を終えたのだと、仙右衛門(せんえもん)は思っていた。
しかし、それから間もなくのこと。
「氏彦(うじよし)様は国元の政(まつりごと)や百姓の暮らしにも関心を持ち、今後の安寧(あんねい)に努めたいとお話しになっておられる。頼もしい御主君となられるであろう」
粂五郎(くめごろう)は、文(ふみ)にそう認(したた)めていた。
ああ、これで先代に仕(つか)えて来た己の役目を終えたのだと、仙右衛門(せんえもん)は思っていた。
しかし、それから間もなくのこと。