五輪談合、組織委元次長に出頭要請 東京地検特捜部、本格捜査へ

東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなった国立競技場 =東京都新宿区(斉藤佳憲撮影)
東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなった国立競技場 =東京都新宿区(斉藤佳憲撮影)

東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で、テスト大会の計画立案支援業務の入札を巡り受注調整をした疑いが強まったとして、東京地検特捜部が大会組織委員会大会運営局の元次長に対し、8日に出頭を要請したことが関係者への取材で分かった。特捜部は同日中にも、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で本格捜査に乗り出すとみられる。

談合があったとされるのは、大会運営局が発注したテスト大会の計画立案支援業務を巡る入札。平成30年に計26件実施され、広告大手「電通」や業界2位の「博報堂」など9社と、うち2社による共同事業体が総額約5億4千万円で落札した。

9社はその後、テスト大会や本大会の運営などを、入札を伴わない随意契約で受注。総額は400億円規模に上る。

関係者によると、入札を取り仕切っていた元次長は、組織委に出向していた電通社員や、電通社内で入札関連業務を担当していた担当者とともに、企業側の応札希望などを取りまとめた「リスト」を更新。入札はほぼリスト通りの企業が落札しており、大半が「1社応札」だった。

特捜部と公正取引委員会は昨年11月下旬以降、電通や博報堂など9社中8社や、下請け企業を家宅捜索。特捜部の任意の事情聴取に対し、元次長は「談合はしていない」などと否認していたが、最近になり「実質的に競争を制限したと言われたら、それは仕方ない」などと認める方向に転じていた。電通の関係者も談合を認める旨の供述をしているという。

特捜部は、受注調整はテスト大会関連業務だけでなく、随意契約だった本大会なども含めて一体的に行われたとの見方を強めているもようだ。

五輪談合、組織委元次長宅と電通幹部宅を家宅捜索 東京地検特捜部

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