滋賀県高島市の高島市民病院は8日、CT検査の画像診断報告書にがんの疑いとの記載があるにもかかわらず、主治医が見落とす事案が平成27年以降に3件あったと発表した。うち、いずれも同市の70代と80代の男性が死亡した。病院側は「治療の遅れによって症状が悪化したと思っている」とし、医療過誤と認めた。
病院によると、70代男性は31年3月に受診し、CT検査を受けた。放射線科医により胃がんの疑いが指摘されたが、翌月に退院。令和元年8月に再度CT検査を受け、見落としが判明した。80代男性も平成31年1月に肺がんの疑いが指摘されたが見落とされ、令和元年11月の再検査で明らかになった。2人は2年6~7月に転院先の病院で死亡。死因はがんとされる。
それぞれ、別の主治医による画像診断報告書の確認不足が原因という。80代男性については、病院側が損害賠償金を支払うことで合意した。
残り1件は、90代女性の両側乳がんの疑いを見落としていた。記者会見した武田佳久病院長は「心より深くおわび申し上げる」と陳謝した。