明治40年に建てられ、国の登録有形文化財に指定されている南海電鉄浜寺公園駅旧駅舎(堺市西区)の柱を蹴って傷つけたとして、大阪府警は8日、建造物損壊の疑いで、高校1年の男子生徒ら同区に住む16歳の少年3人を逮捕した。「遊びでやった」と、いずれも容疑を認めており、柱を蹴る様子をスマートフォンで撮影していたという。
3人の逮捕容疑は1月8日未明、駅舎の出入り口にある木造の柱2本を繰り返し蹴ったりたたいたりして破損させたとしている。柱は塗装部分がはがれるなどして、約41万円相当の被害があった。
西堺署などによると、駅舎の管理を行うNPO法人「浜寺公園駅舎保存活用の会」が発見し、所有する南海電鉄が近くの交番に届け出た。周辺の防犯カメラには3人が順番に柱に向かってハイキックをするような様子が写っていた。
駅舎は木造で、大阪市中央公会堂や東京駅などを手掛けた建築家、辰野金吾の事務所が設計を担当。平成10年9月に登録有形文化財に指定された。現在はNPO法人がカフェやギャラリーとして活用しており、田中正史理事(87)は「地元にとっては、とても大切な建物で熱意を持って維持管理をしてきた。傷つける行為は残念で憤りを感じる」と話した。