2023年は、民主主義諸国と権威主義勢力との「新冷戦」の最中なのか、それとも核大国間の「大戦」前夜なのだろうか。
どちらかに後世の歴史家は記述するであろう。バイデン米大統領が一般教書演説で述べたように、「変曲点」にある世界。民主主義に基づく国際秩序を支える指導者のメッセージを同盟諸国、中露や北朝鮮の独裁者も耳を傾けたはずだ。
「米国の背骨を立て直す」。演説でそう力説したバイデン氏はしかし、過去2年の政策運営に不満を抱く有権者に向け、雇用創出やインフラ整備の実績アピールに躍起となり、共和党が迫る社会保障削減を内なる脅威のごとく「許さない」と批判した。24年大統領選を意識し「まず候補者として信頼性を強く見せる」(米ブルッキングス研究所のガルストン上級研究員)ためだ。熱狂する民主党と冷淡な共和党の対照は際立った。