任期満了に伴う大阪府知事・市長のダブル選(4月9日投開票)をめぐり、政治団体「アップデートおおさか」が設立記者会見を8日開き、地域政党・大阪維新の会に対抗する活動方針を正式に表明した。団体代表には地元経済界の重鎮が就任。維新の2トップが首長として進めてきた経済政策に対し、くすぶっていた不満が噴出した格好だ。
「リーマンショック後、個人所得などをみても全国に占める大阪の経済的なウエートは相対的に下がっている」。団体代表に就いたサクラクレパス元会長の西村貞一氏は会見でこう述べ、維新主導の行政への不満を隠さなかった。
西村氏は令和2年10月まで大阪商工会議所副会頭を務めるなど、地元財界の顔として知られてきた。政治活動に踏み切ったことについて、「私を知っている人は驚いていると思う。選挙に対して素人だが、アップデートの考えに共感するところがあり引き受けた」と説明した。
大阪では、7年の大阪・関西万博や、誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)が地元経済を活性化させる起爆剤として期待されている。これらは維新政治の「成果」として語られることも多いが、地元財界は成功に向けて全面的に協力している。
一方で、大阪経済が低迷しているとの見方があるのも事実だ。西村氏は経済政策の問題点として、中小零細企業への支援が不十分であることや、展示場の規模縮小など計画変更をしながらもすすめられているIRなどを挙げる。
帝国データバンクによると、府の名目総生産の全国シェアは昭和45年に約10%を占めたが、その後は凋落(ちょうらく)し、最近10年は7・5%前後で推移。府の1人当たりの所得は約305万円で全国平均の約334万円を下回る(令和元年度)。府内の企業数の減少率も全国より早く、大阪の企業本社の移転状況は40年連続で「転出超過」となっている。
アップデートへの今後の経済人の参加について、西村氏は「経済団体でお願いすることはしないが、友人らに賛同を呼びかける」とした。ダブル選では維新の経済政策も争点になりそうだ。(井上浩平)