北朝鮮で大規模軍事パレード開始と報道 軍創建75年、正恩氏の娘に高い敬称も

北朝鮮の朝鮮人民軍創建75年の記念日に、平壌の「万寿台の丘」にある故金日成主席(奥左)と故金正日総書記の銅像に献花に訪れた軍人ら=8日(共同)
北朝鮮の朝鮮人民軍創建75年の記念日に、平壌の「万寿台の丘」にある故金日成主席(奥左)と故金正日総書記の銅像に献花に訪れた軍人ら=8日(共同)

【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮で朝鮮人民軍創建75年となる8日、大規模な軍事パレードが行われたもようだ。韓国の聯合ニュースが、平壌の金日成(キム・イルソン)広場で同日午後8時半ごろ(日本時間同)からパレードが始まったと、韓国軍当局の分析として伝えた。大陸間弾道ミサイル(ICBM)といった新型兵器が多数動員された可能性がある。

金正恩(ジョンウン)朝鮮労働党総書記が演説し、核開発や対米国方針などに言及するのかが注目される。軍事パレード実施は昨年4月以来。経済難が深まる中でも、軍備増強路線の堅持を国内外に誇示する狙いとみられる。

北朝鮮メディアは8日、正恩氏が記念日を前に7日、「尊敬するお子様」を伴って軍将校らの宿舎を訪れたと報道。「金ジュエ」とされる娘や李雪主(リ・ソルジュ)夫人が同行する写真を配信した。

正恩氏は宿舎訪問後の宴会で演説し、「わが軍隊は世界で最も強い軍隊という誉れ高い呼び名を得た」と軍をたたえた。「子孫万代のため、われわれは多くの苦痛を耐え抜き、偉大で絶対的な力を育てた」とも強調した。開発した核・ミサイルを指すとみられる。

北朝鮮で最高指導者以外に「尊敬する」との敬称が用いられるのは異例だ。昨年11月のICBMの発射実験に正恩氏と同行し、初めて公開された娘が報道に登場するのは今回で4回目。最初は「愛するお子様」、次いで「尊貴なお子様」と紹介されており、敬称が徐々に高まっている。子供の世代にわたって軍が金体制を守り抜くことを印象付ける意図もあるようだ。

党機関紙の労働新聞は8日付の社説で、異例の頻度での弾道ミサイル発射など北朝鮮が昨年繰り返した軍事的行動について「われわれの国家核戦力政策は空言ではなく、誰かが手出しすれば、殲滅(せんめつ)的な打撃が加えられることを明確に警告した」ものだと主張した。

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