トルコのコルクット・ギュンゲン駐日大使は8日、同国南部を震源とする大地震について都内で記者会見した。「何よりも優先しなければならないのは国民の命の救助とその後の被災地の復興だ」としつつ「トルコが国際社会における取り組みを怠ることにはならない」と述べ、ウクライナ産穀物の輸出への協力を今後も継続する考えを示した。
ウクライナ産穀物の輸出はロシアの侵略に伴う黒海封鎖で滞り、小麦価格などが世界的に高騰。トルコと国連の仲介で昨年8月から輸出が再開した。ギュンゲン氏は「トルコが取り組む重要案件の一つが(ウクライナ産)穀物の国際社会への輸送だ。これは変わりなく協力を続ける」と強調した。「戦争の終結に向けた平和交渉開始のための努力を続ける」とも述べた。
ギュンゲン氏は「私の親友も何人か、がれきの中に残されている」と明かし、日本政府の緊急支援について謝意を示した。「地理的に非常に離れているのに、国際社会から被災地に最も早く到着した救助隊の一つが日本のチームだった」と称賛した。自衛隊の現地派遣については「日本政府の判断に委ねる」とした上で「派遣方針があるようならトルコとしては歓迎するのみだ」と語った。
ギュンゲン氏は、今後は寒さの厳しい被災地で避難者が生活するための仮設住宅などが重要になると指摘。一方、海外の個人や民間からの支援物資の受け入れは仕分けなどに人材を要することから避けたいとした。また多くの日本国民から義援金が寄せられているとして「本当に感銘を受けた」と述べた。
在日トルコ大使館は義援金の受け入れ口座を開設した。振込先は三菱UFJ銀行渋谷明治通支店、普通預金、口座番号3195717、口座名義は「TURKISH EMBASSY」。(西見由章)