「犬がいる」から鍵かけない…は安全過信 家の防犯力アップのポイントは?

住宅を狙った強盗事件が各地で相次ぎ、自宅の防犯対策に関心が集まっている。その半面、聞こえてくるのが「離れて暮らす親の家が心配」との声だ。一般的に高齢者は犯罪の標的にされやすいが、在宅中に玄関の鍵をかけなかったり、換気で窓を開けていたり…。専門家は「家にいても鍵をかけて」と呼びかける。住宅の防犯力を高める方法を聞いた。

「勝手口はだいたい開いていて、鍵の予備は植木鉢の下にある。田舎の実家はセキュリティーが甘すぎ」

山口市に住む主婦(49)は、九州で暮らす老親の「昔ながらの無防備」をこう嘆く。

ほかにも、「実家の親は2階で昼寝する間も、1階の掃き出し窓を全開にしている。知らないうちに泥棒に入られているかも」(40代主婦)など、案じる声はある。防犯意識の調査でも「親が心配」と答える人は多く、パナソニックが昨年10月、20~60代の500人に行った調査では、54・3%が離れて暮らす親や祖父母の家の防犯に不安を感じていた。

家にいても施錠を

「鍵をかけるのは『出かけるときだけでしょ?』という人がいるけれど、在宅時も施錠が大事」と話すのは、セコムIS研究所の浜田宏彰研究員だ。

警察庁の犯罪統計によると、令和3年、住宅への侵入窃盗の認知件数のうち、「忍び込み」や「居空き」といった在宅中を狙った手口は、計約35%を占めた。「在宅中を狙う窃盗は意外と多いし、増える傾向にある。なのに無施錠の人はとても多い」(浜田さん)

在宅中に鍵をかけない人に理由を聞くと、「犬を飼っているから」(70代男性)。しかし、「犬は餌を与えて手なずけられる可能性がある。ほかにも、窓に面格子をはめているから鍵をかけなくても大丈夫、と考える人もいるが、ドライバー1本で外せるものも多い。過信は禁物」と浜田さんは説く。

凶悪な犯罪の発生をニュースで知っても、それを「自分ごと」として考えることは難しい。そんな人は、一度、住んでいる自治体の犯罪発生状況を調べてみるとよい。日々、身近に犯罪が起こっていることを実感できるかもしれない。

光や音の活用を

防犯の基本は施錠で、とにかく家に「誰か」を入れないこと。さらに「入りにくく、逃げにくい家」にすることも大事だ。浜田さんによると、防犯環境設計の考え方に基づき、次の4点を踏まえ、家やその周辺を整えるとよいという。

①家は周囲からの見通しをよくする②家の安全性能を高める③門やガレージは閉め、犯罪者を近づけない④近所付き合い、ごみの清掃、掲示板の管理などを進め、安全な地域をアピールする

①の具体例は、家の周囲に高い塀を設けないこと。「昔はしっかりとしたブロック塀を設けるとよいとされていたが、乗り越えられてしまえば犯行現場の目隠しとなる」。②は鍵や窓ガラスを防犯性をうたったものに交換する。また、「外出中だとばれるから」と窓のシャッターを閉めない人がいるが、閉めれば「泥棒にとっては侵入にひと手間加わったことになる」(浜田さん)ため、閉めたほうがよいという。

また泥棒が嫌う「光」と「音」の活用も有効だ。隣家と近接する細い隙間にある窓など、侵入リスクが高そうな場所に、人の動きを感知して光るセンサーライトを設置し、踏むと大きな音が鳴る防犯用の砂利などを敷けば、敷地内への不審者の侵入に気付きやすい。

行動面でも注意点がある。宅配便や設備点検などをかたった来訪があった場合、「あわてて玄関を開けず、まずはインターホン越しに用件に心あたりがあるか確認を」。過剰に恐れたり、疑ったりする必要はないが、なるべく玄関を開けずに対応することを心掛けたほうがよいだろう。(津川綾子)

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