バイデン大統領、一般教書演説で中国牽制「主権を脅かせば行動する」

一般教書演説を行うバイデン米大統領=7日(ロイター)
一般教書演説を行うバイデン米大統領=7日(ロイター)

【ワシントン=坂本一之】バイデン米大統領は7日(日本時間8日)、上下両院合同会議で内外の施政方針を示す一般教書演説を行った。偵察気球を米国上空に侵入させた中国に対し「わが国の主権を脅かせば、米国を守るために行動する」と述べ、習近平政権を牽制(けんせい)した。昨年11月の中間選挙で共和党が下院の主導権を握ったことを踏まえ対中政策や国内問題での超党派の協力を求めた。

バイデン氏は、米中関係について「われわれが望んでいるのは衝突ではなく競争だ」と強調。中国に先端技術での覇権を許さない姿勢を示し「中国との競争に打ち勝つため結束しよう」と共和党に呼びかけた。

プーチン露大統領によるウクライナ侵略は「米国、世界に対する試練」と指摘。北大西洋条約機構(NATO)との結束に触れ「侵攻が続く限りウクライナを支援する」と述べた。

露中の脅威に備え日欧が防衛費増額を進めていることなどを念頭に、「同盟国は立ち上がり、役割を増している」と民主主義陣営の連携の重要性を強調した。

内政では、インフラ整備や製造業支援の対策で「1200万人の雇用を創出した」ことなど2年間の実績をアピール。「新型コロナウイルスが生活を支配することはもはやない」とコロナ禍からの回復も訴えた。

経済対策では、半導体投資法を挙げ、「米国のサプライチェーン(供給網)は必ず米国で始まるようにする」と説明。政府のインフラ事業で米国製資材の使用を義務付ける規制導入を打ち出すなど、米国内の生産拠点を拡充する姿勢を鮮明にした。

一方、連邦政府の借入限度額を定めた「債務上限」の引き上げ問題に関し「一部の共和党議員は経済を人質に取ろうとしている」と批判。社会保障の施策を維持しながら、大企業や富裕層への税負担拡大で政府債務を削減していくとした。

再出馬に意欲を示す2024年大統領選をにらみ、バイデン氏は共和党との政策協議を関し「対立のための対立では何も得られない」と協力を求めた。

トランプ前大統領の支持者らによる議会議事堂襲撃事件が起きた約2年前に米国の民主主義は「南北戦争以来で最大の脅威に直面」したが、「不屈だ」とも訴えた。

【一般教書演説】 「米中は対立より競争」

【一般教書演説】 「中国が米国の主権脅かすなら国守る行動に」

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