露、1月の財政赤字3兆円超 昨年の14倍 通年想定の6割に到達

ロシア国旗(ロイター)
ロシア国旗(ロイター)

ロシアのインタファクス通信は6日、露財務省の統計を基に、今年1月のロシアの財政赤字が前年同月比の14倍となる1兆7760億ルーブル(約3兆3千億円)となり、今年の国家予算で約3兆ルーブルと想定された赤字分の既に約60%に達したと報じた。主な要因は、ロシアが国家歳入の柱とする原油や天然ガス輸出の収益の減少だとしている。対露制裁の効果が着実に表れているものとみられる。

同通信によると、ロシアの今年1月の原油・天然ガス企業からの税収は、前年同月比で46%減となる4260億ルーブルにとどまった。エネルギー価格の下落に加え、ウクライナ侵略で主な輸出先だった欧州連合(EU)などが対露エネルギー依存からの脱却を進めたことが背景にあるもようだ。

全体の歳入も前年同月比35%減の1兆3560億ルーブルとなった一方、支出は同59%増の3兆1170億ルーブルに上った。露財務省は、赤字が拡大したのは予定した支出を前倒しで実施したためだとし、「通年では赤字は平均化される」とした。

ただ、シルアノフ露財務相は昨年末、米欧側が導入した露産原油の上限価格設定などによりエネルギー輸出が減少し、今年の財政赤字が想定以上に拡大する可能性があると認めていた。ウクライナ侵略の長期化を受け、ロシアは今年の国家予算の30%超を軍事費など国防関連費に計上。財政赤字が拡大すれば、戦費がロシアの財政を圧迫する事態が加速するとみられる。

インタファクス通信によると、露財務省は赤字を補うため、エネルギー輸出の余剰収益を積み上げてきた「露国民福祉基金」が保有する金約3・6トンや中国の人民元を売却した。同基金からの金の売却は初だという。タス通信によると、今年2月1日時点の同基金の資産残高は約11兆ルーブル。

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