シャープは7日、令和5年3月期の連結業績予想を下方修正し、本業のもうけを示す営業損益を従来予想の250億円の黒字から200億円の赤字に引き下げた。昨年6月に完全子会社化した「堺ディスプレイプロダクト(SDP)」(堺市)の採算悪化や円安が影響した。営業赤字は台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入る前の経営危機に陥っていた平成28年3月期以来、7年ぶりとなる。
売上高の見通しも1500億円引き下げ2兆5500億円に。最終損益は、構造改革中により算定が困難として「未定」とした。
SDPが生産する大型パネルは子会社化以降、市場価格の下落が続いており、採算の悪化により4~12月期の比較で前年から367億円の利益減少要因となった。円安も利益を圧迫した。また、スマートフォンやパソコン需要の減速で中小型のパネルも低迷。国内や東南アジアなどの主力地域で、白物家電の市況も悪化した。
オンラインで会見した沖津雅浩副社長は「急激な市場環境の変化で業績は大変厳しい」と説明。マレーシアのテレビ工場など収支が悪化している海外拠点の人員整理を含む構造改革を今年度中に進め、「来年度に確実に黒字転換を図る」と強調した。SDPを中心としたディスプレー事業についてはパネル価格の低迷が継続するとの見方を示し、「対応を検討している最中だ」と述べるにとどめた。
同時に発表した令和4年4~12月期連結決算も、最終損益が72億円の赤字(前年同期は708億円の黒字)となった。