強制送還へ今村、藤田容疑者移送 うなだれた様子で空港入り

フィリピン・マニラの国際空港で、強制送還のため航空機に乗せられる藤田聖也容疑者(右)=7日(共同)
フィリピン・マニラの国際空港で、強制送還のため航空機に乗せられる藤田聖也容疑者(右)=7日(共同)

全国で相次いで発生している強盗事件を巡り、犯行の指示役とされる日本人特殊詐欺グループの送還が7日、始まった。厳重な警備態勢が敷かれ、首都マニラ近郊の入管施設や空港周辺は物々しい雰囲気に包まれる中、今村磨人(きよと)(38)と藤田聖也(としや)(38)の両容疑者は犯行を指示した「アジト」ともいえる入管施設を出て、日本へと向かった。

首都マニラ近郊の入管施設「ビクタン収容所」前には現地時間午前5時(日本時間午前6時)ごろから報道陣が詰めかけた。近隣に住む男性は報道陣に驚いた様子で、「収容施設は警察施設の中にあり、どんな場所かよくわからない。遠い日本に犯行指示を出していたことが本当なら信じられない」と話した。

7時半(同8時半)ごろに警察車両が施設前に到着し、まもなく今村、藤田両容疑者が乗り込んだ。車両はスモークガラスのため、車内の様子はうかがえなかった。

両容疑者はその後、ニノイ・アキノ国際空港に到着し、警視庁の捜査員に身柄を引き渡された。フィリピン司法省によると、両容疑者はうなだれた様子で空港へ入っていったという。

両容疑者の送還をめぐってはフィリピンで審理中の刑事裁判が障壁となった。しかし、1月25日に今村容疑者、2月3日に藤田容疑者の公訴が相次いで棄却され、2人については移送に向けたハードルが解消された。

目標としていた8日のマルコス大統領訪日前の全員送還は実現しなかったが、送還にこぎつけたことで、フィリピン側には一定の安堵(あんど)感が漂った。空港で会見したフィリピンのレムリヤ司法相は「(送還の実現で)フィリピンが犯罪と闘う姿勢を示した」と強調。「フィリピンと日本の関係強化につながることを期待する」と述べた。(マニラ 森浩、中村雅和)

フィリピン、4容疑者関与被害は60億円以上 同時送還は断念か

キム「地下に金ある」「老人殴れるか」 狛江の強殺、実行役に指示

会員限定記事会員サービス詳細