三菱重工業は7日、国産初のジェット旅客機スペースジェット(旧MRJ)の開発を完全に取りやめ、撤退すると発表した。開発子会社の三菱航空機(愛知県豊山町)も清算する。三菱重工は累計1兆円の開発費を投じたものの、商業運航に必要な型式証明(TC)を取得できず、令和2年10月に開発を事実上凍結していた。新型コロナウイルス禍で減少した航空需要の回復が遅れる中、開発を再開しても事業成長が期待できないため中止に踏み切る。
国産ジェット機の事業化は平成20年に決定されたものの、経験不足から開発は停滞。当初25年としていた初号機納入が6度にわたり延期されるなど空回りが続いていた。事業凍結後は体制を縮小し、三菱航空機と三菱重工側を合わせて1千人以上いた開発などの人員は100人規模まで減っている。三菱重工は今後、日本と英国、イタリアの3カ国で開発を目指す次期戦闘機などに経営資源を振り向ける方針だ。