バイデン米政権がフィリピンとの関係強化に改めて乗り出した。台湾を武力統一する構えを強める一方、南シナ海の軍事拠点化による実効支配を続ける中国に対抗するにはフィリピンの存在がこれまで以上に重要になっているためだ。
米国とフィリピンの再接近は、米国を軸に日本、韓国と台湾、オーストラリアなどによる西太平洋地域での「中国対抗の弧」が確立したことを意味する。また、8日からのマルコス比大統領の来日も、中国の覇権的行動の抑止に向けた地域の安全保障協力を前進させる上で重要な意味をはらんでいる。
米政権がフィリピンを重視するのは、中国の脅威にさらされる台湾と南シナ海のいずれとも隣接する位置にあるためだ。フィリピンはルソン島北端からバシー海峡をはさんで台湾までわずか約300キロ程度の距離であるほか、台湾を除いて中国本土と最も近い陸地とされる。