異論暴論

国の在り方を問う 今後の秩序をどう作るか

ロシアのウクライナ侵略を機に世界は民主主義と権威主義の対立が深刻化している。日本が民主主義陣営に与(くみ)するのは当然のこととはいえ、一定の結末を迎えたその先はどうあるべきか。

京都大学名誉教授の佐伯啓思氏と麗澤大学教授の川久保剛氏の対談では、保守もリベラルも対立が目的となり、議論が硬直化した現状を憂慮。市場中心主義を基調としたグローバリズムは限界にきており、伝統を大事にする保守こそが国の在り方を内側から問い直すべきだとした。

グローバリズムのほころびは1年がたつロシアの蛮行でも明らかとなった。根底にはロシアとウクライナ双方の民族意識の違いだけでなく、欧州にも情勢の理解不足があったと筑波大学教授の東野篤子氏と国際政治学者のグレンコ・アンドリー氏が解説。「この戦争もいつか甚大な犠牲を払って終わる。そのあとロシアを含めてどのような秩序をつくっていくべきかという問題は何一つ答えが出ていない」と東野氏は言う。

中国警察当局による「海外派出所」が日本にも複数箇所あり、本誌編集部が実態を究明。ウイグル人の監視カメラに日本企業が部品供給していることを日本ウイグル協会のアフメット・レテプ氏が、中国による人権侵害に抗議の声が上がり始めた現状をダライ・ラマ法王日本代表部事務所のアリヤ・ツェワン・ギャルポ氏が伝える。(楠城泰介)

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