【ワシントン=大内清】米上空を飛行し4日に米軍機に撃墜された中国の偵察気球を巡り、米CNNテレビは5日、下院の多数派を握る野党・共和党が、バイデン民主党政権の弱腰対応が米国の威信を傷つけたなどとする非難決議案を、早ければ7日にも採決する方向で検討を進めていると伝えた。7日に一般教書演説を行うバイデン大統領の信頼失墜を国民に印象付ける狙いがある。
偵察気球への対応については、バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権で中央情報局(CIA)長官や国防長官を歴任したレオン・パネッタ氏が5日、「米国領空に入るのを阻止する方策を練るべきだった。米国上空を横断するのを許すべきではなかった」と述べるなど、批判が高まっている。
バイデン政権は、本土上空で撃墜すれば地上に被害が及ぶ可能性があったとして、気球が東海岸南部のサウスカロライナ州沖合に達したところで撃墜した。米軍は5日までに現場海域に艦艇を派遣し、残骸の回収作業を開始。AP通信によると、回収には数日間を要し、残骸はさらなる解析のため連邦捜査局(FBI)に運ばれる計画という。
一方、CNNによると、共和党のウォルツ下院議員は5日、中国の偵察気球がトランプ前政権時代に南部のテキサス州やフロリダ州付近に飛来していたと国防総省から説明を受けたと明らかにした。これに対し、トランプ政権で国防長官を務めたマーク・エスパー氏はCNNに「そのような報告を受けた記憶はない」と語った。
民主、共和両党の上下両院の指導部や情報委員会メンバーらは、今回の撃墜に至った経緯やバイデン政権の判断などに関する事情説明を7日にも受ける見通し。