【マニラ=森浩、中村雅和】全国で相次いで発生している強盗事件を巡り、フィリピンの首都マニラの裁判所で6日、警視庁が強制送還を求めている日本人特殊詐欺グループ4人=フィリピンの入管施設で拘束中=のうち、渡辺優樹(38)と小島智信(45)両容疑者の別事件の刑事裁判の審理が行われた。裁判官は検察側が求めていた刑事裁判の取り消しを認めなかった。
刑事裁判の棄却は身柄移送の前提となっている。今村磨人(きよと)(38)と藤田聖也(としや)(38)の両容疑者については既に公訴が棄却されており、7日にも2人を先行して日本に移送する方向で日比間の調整が進んでいる。
フィリピン司法省は一連の刑事裁判は、日本への強制送還を遅らせる目的での虚偽の告発に基づくものと断定し、検察を通じて公訴棄却を申し立てている。フィリピン政府は8日からのマルコス大統領の日本訪問で、送還問題に関心が集まるのを避けるため訪日前の決着を目指してきた。
警視庁は身柄移送のために6日にも捜査員らをフィリピンに派遣する見通し。4人はフィリピンを拠点に日本に電話を掛けて高齢者らをだましており、詐欺の被害額は60億円を超えるもようだ。