昭和41年に静岡県の一家4人が殺害された事件で死刑が確定し、静岡地裁の再審開始決定を受けて釈放された袴田巌さん(86)の差し戻し審で、東京高裁が再審開始の可否について、3月13日に決定を出すことが6日、弁護団への取材で分かった。
袴田さんの姉、ひで子さん(89)が申し立てた第2次再審請求審は、平成26年3月に静岡地裁が再審開始を決定し、袴田さんを即日釈放。30年6月に東京高裁が開始決定を取り消したが、最高裁は令和2年12月に審理を高裁に差し戻していた。
差し戻し審では、事件発生から約1年2カ月後に現場付近のみそタンク内から見つかり、確定判決で犯行着衣とされた5点の衣類に付着していた血痕の色の変化が争点となった。
弁護側は、衣類の血痕には赤みが残っており、衣類が1年以上みそ漬けになっていたとはいえないとし、発見の約1年前に逮捕された袴田さんが衣類を隠すことはできないと主張。検察側は一定条件下では赤みが残る可能性があると反論し、高裁が再審請求を棄却する決定をした場合には「刑の執行停止を取り消して身柄を収容すべきだ」としている。