中国がスパイ行為の摘発を強化するため、「反スパイ法」の改正作業を進めている。スパイ行為の定義を現行法よりも広げ、当局の権限を拡大したのが特徴だ。習近平国家主席は「国家安全」を重視する姿勢を強めているが、その定義はあいまいで、当局の恣意(しい)的な判断で摘発対象となることが懸念されている。中国国内で活動する日本人など外国人にも影響が及ぶ恐れが強まっている。
スパイ行為の定義を拡大
中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は昨年末、反スパイ法の改正案を公表した。2014年に施行された現行法は全40条で構成されていたが、改正案は全71条と大幅に拡充されている。既に全人代常務委で審議が進んでおり、今年前半にも可決される見通しだ。