混迷するサッカー韓国代表の後任監督選考 元日本代表監督のハリルホジッチ氏も候補か

2015年~18年まで日本代表監督を務めたバヒド・ハリルホジッチ氏=東京都港区
2015年~18年まで日本代表監督を務めたバヒド・ハリルホジッチ氏=東京都港区

サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会でベスト16入りを果たした韓国代表で、同大会限りで監督を退任したパウロ・ベント氏の後任選考が難航している。候補者の中には、かつて日本代表で指揮を執ったバヒド・ハリルホジッチ氏の名前も韓国メディアで取りざたされており、今後の行方が注目される。

ボルダラス氏に「試行錯誤、今まで以上に多くなる」

W杯カタール大会で韓国代表は、1次リーグを突破したものの、決勝トーナメント1回戦のブラジル戦に1-4で大敗。2018年から指揮を執っていたポルトガル出身のベント氏は、同大会限りで退任した。ベント氏の後任として、複数の韓国メディアに名前が挙がっているのがスペイン出身のホセ・ボルダラス氏だ。

スポーツソウル(日本語電子版)は「1993年から指導者生活をスタートさせ、これまでエルチェやアラベス、ヘタフェ、バレンシアなどスペイン国内のクラブを率いてきた。特に、アラベスやヘタフェではチームを1部昇格に導いたことで、『昇格請負人』という異名も持っている」として、ボルダラス氏の経歴などを紹介。中央日報(日本語電子版)も「ボルダラス氏は韓国代表のMF李康仁(イ・ガンイン、現マジョルカ)とも縁がある」として、李がバレンシア在籍時代の指揮官だったことを報じた。

ただ、スポーツソウルは「ボルダラス氏は30年近い指導者生活をスペイン国内、それもクラブチームでしか送っていない。代表を率いた経験はゼロだ」と代表監督としての適性を不安視した上で、「仮にボルダラス氏を新監督に選ぶのであれば、試行錯誤は今まで以上に多くなるだろう」と指摘した。

ハリル氏には「不安要素を抱えていると判断」

一方、ボルダラス氏のほかに候補として韓国メディアで名前が挙がっているのが、かつて日本代表を指揮したハリルホジッチ氏だ。

バヒド・ハリルホジッチ氏(撮影・中井誠)
バヒド・ハリルホジッチ氏(撮影・中井誠)

ボスニア・ヘルツェゴビナ出身のハリルホジッチ氏は、仏リーグのパリ・サンジェルマンや、アルジェリア代表監督などを歴任し、2015年に日本代表監督に就任。18年にはW杯ロシア大会アジア最終予選を突破し本大会出場を決めたが、同年4月に選手とのコミュニケーション不足などを理由に解任された。ハリルホジッチ氏は解任をめぐって日本サッカー協会を相手に提訴(その後取り下げ)したことでも知られる。その後はモロッコ代表でも指揮を執ったが、カタール大会開催3カ月前の2022年8月に解任が発表された。

スポーツソウルはハリルホジッチ氏について「2015~2018年に日本を率いた経験もあることから、アジアサッカーの特性をよく知っているという長所もある」と評価しながらも、「失敗の理由は大半が選手との関係悪化だった」として、「比較的穏やかで従順な韓国人選手の特徴を考慮しても、過去の経歴を見る限り、ハリルホジッチ氏は不安要素を抱えていると判断しなければならない」と指摘した。

今後の見通しについて、スポーツソウルは「KFA(大韓サッカー協会)が今後どの候補と接触するのか、そして最も重要な交渉で成功できるかは不透明だ」という。W杯カタール大会で韓国と同様にベスト16入りを果たし、続投がスムーズに決まった日本代表の森保一監督とは対照的に、韓国代表監督の後任選考はしばらく時間がかかりそうだ。(浅野英介)

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