和歌山県紀の川市で平成27年、小学5年の森田都史(とし)君=当時(11)=が殺害された事件は5日、発生から8年となり、父親の悦雄さん(74)が事件現場の空き地に花を供えた。悦雄さんは、都史君を殺害した罪などに問われ、懲役16年が確定した中村桜洲(おうしゅう)受刑者(30)について「いまだに謝罪も、賠償金の支払いも全くない。納得がいかない」と述べた。
悦雄さんは事件後、中村受刑者に損害賠償を求め、30年に約4400万円の支払いを命じる判決が確定したが、今も支払われていない。「怒りや悲しみよりも悔しさが強い。受刑者が素直な気持ちで謝罪してくれたら、前進できるかもしれない」と声を絞り出した。
現在は「犯罪被害補償を求める会」(神戸市)に参加し、賠償金を国が立て替える制度づくりなどを求めて活動している。都史君の遺骨はまだ自宅の祭壇に置かれたままで、心の整理がついたと感じる日が来れば、納骨するつもりだ。